タイのチェンマイは海外移住先として人気で、多くの日本人が暮らしています。
チェンマイはタイの北部に位置し、日本人の間では「タイの京都」と呼ばれており、首都のバンコクと比べるとのどかで落ち着いていることが、日本人からの人気が高い理由です。

チェンマイの中心部は再開発が進み、近代的な街並みが拡がっており、治安も良く暮らしやすい街になっています。
そのようなタイのチェンマイに赴任や移住が決まった時には、家賃などの物価や生活費がどの程度かかるのかが気になりますね。

この記事では、チェンマイの住宅事情や家賃、水道光熱費、インターネット費用、食費、医療費、交通費などについて解説します。

関連記事:タイの生活費は平均いくらくらいかかるの?バンコク版

 

 

住宅事情と家賃

住宅事情と家賃<Photo by deborah cortelazzi on Unsplash >

チェンマイに赴任する日本人の多くは、ニマンヘミンエリアや旧市街エリアなどの治安の良い地域のコンドミニアムで暮らしています。
多くのコンドミニアムは共用プール付きで、家賃は1LDKが月額54,000円(約15,000バーツ)程度、2LDKが月額72,000円(約20,000バーツ)程度です。
富裕層が暮らしているファミリー向けの3LDKクラスのコンドミニアムでも月額約108,000円(約30,000バーツ)程度で借りることができ、住宅事情は東京に比べるとかなり良いと言えるでしょう。
なお、日本人向けの多くのコンドミニアムには高級家具や家電製品などの設備が完備されており、日本から家財道具を持ってこなくても住んだその日から生活できます。

注意点として、コンドミニアムは3年間契約で前払い、中途解約をしても返金されないなど、厳しい条件が付いていることが多いということです。
家賃を72,000円とすると3年間で約260万円になり、仲介手数料などの契約に伴う諸々の費用を含めると300万円近いまとまったお金が必要になります。
家賃は一度払ってしまうと中途解約をしても返金されないので、賃貸物件を選ぶ際には十分に気をつけてください。

マンスリーマンションやサービスアパートメントでは、1ヶ月や3ヶ月の短期契約で借りることができ、コンドミニアムを長期契約で借りるよりもハードルを低く借りられます。日本のウィークリーマンションのように、家具や生活家電などはあらかじめ完備されており、ホテルのような感覚で暮らせる物件やメイドサービス付きの物件などがあります。家賃は物件やエリアによってまちまちですが、28,800円~72,000円(8,000バーツ~20,000バーツ)程度です。

多くの日本人駐在員は約54,000円(15,000バーツ)以上のセキュリティがよく治安の安心な物件を借りることが多いです。

医療事情と医療費

医療事情と医療費

<Photo by Ali Yahya on Unsplash

チェンマイには外国人向けの私立総合病院が複数あり、国際規格に準ずる高度医療が受けられます。
日本人が通う総合病院にはICU(集中治療室)やMRIなどの最新医療設備が整っており、日本の総合病院と医療レベルは変わりありません。日本語を話せる医師や看護師は少ないですが、英語での会話が可能で、無料で日本語の通訳サービスを利用できる病院もあります。日本語通訳のレベルが高い代表的な病院として、ラム病院とバンコク病院チェンマイが挙げられます。

医療費は日本と比べると安く、実費負担は簡単な血液検査だけであれば約1,200円(330バーツ)程度、腹部エコー検査で約1,500円(420バーツ)程度です。基本的にタイの医療費は高くないので、日本の国民健康保険証や社会保険の海外療養制度を使えば、現地で生じた医療費をまかなうことができるでしょう。

日本国内の保険だけでは不安という方には、現地邦人向けの共済医療保険もあります。現地邦人向けの共済医療保険は、月額10,000円程度で、通院、入院などフルカバーされます。

水道・光熱費

水道・光熱費

みっくーによるphoto ACからの画像>

普通の生活をしていれば、電気代は月額約5400円(1,500バーツ)程度、水道代は月額約1,100円(300バーツ)程度です。チェンマイはタイ北部の山岳部に位置するため、バンコクと比べると涼しく、年間平均気温は約26℃で、4月が最も暑く最高気温は約40℃になります。

当然ですが、エアコンを使いすぎると電気代は高くなり、約9,000円(2,500バーツ)以上になることがあります。チェンマイでの入浴はシャワーだけで済ます人が多いですが、日本のようなスタイルで湯船に浸かって入浴すると、水道代は約3,600円(1,000バーツ)程度かかります。

なお、チェンマイでは生水は飲めないため、チェンマイで暮らしている日本人はスーパーマーケットなどでミネラルウォーターを購入するか、配達を依頼して飲んでいます。水道代とは別に1ヶ月のミネラルウォーター代として、最低でも約1,100円(300バーツ)程度は必要になるでしょう。
長期契約でコンドミニアムに住む場合は水道・光熱費は自己負担になりますが、マンスリーマンションやサービスアパートメントだと水道・光熱費が込みの場合が多いです。

 

インターネット事情と通信費用

インターネット事情と通信費用

Photo from Unsplash by Benjamin Dada

チェンマイではインターネットが普及しており、中国のように厳しいインターネット規制もなく、日本国内と同じような感覚でインターネットを利用できます。コンドミニアムやマンスリーマンション、サービスアパートメントでは、Wi-Fiの料金が家賃に含まれていることが多く、施設内ではインターネットを使い放題で利用することが可能です。

ただし、通信速度は施設によってまちまちで、名目ですが100Mbpsの高速通信が可能なプランもあれば、3Mbps以下の速度しか出ないプランもまだまだあります。自宅でのWi-Fi費用は家賃に含まれていることが多いですが、もし速度等に不満があって自分でネット環境を用意したい場合は、100Mbpsプランのネット費用が月額2,160円(600バーツ)、モバイルネット費用が月額540円(150バーツ)程度です。

また、チェンマイに限らず東南アジアではよくあることですが、突然の天候の変化などにより、通信状況や通信速度は大きく影響を受けますので注意しましょう。
チェンマイ中心部ではフリーWi-Fiが普及しており、カフェやショッピングセンターなどでは無料でWi-Fiを利用できます。チェンマイにはマクドナルドやスターバックスなどの飲食店が数多くありますが、おおぜいの人が利用する飲食店では通信速度がかなり遅くなることがあります。

チェンマイから日本にかける場合の国際電話の料金は1分あたり約25円で、国内電話の料金は1分あたり約3.6円~7円です。

交通費

交通費<Photo by Chris Arthur-Collins on Unsplash>

チェンマイには地下鉄や電車がなく、公共交通機関は最近まであまり発達していませんでした。

2018年にやっと、チェンマイ都市部から近郊を循環する路線バス(スマートバス)が本格運行しています。都市部での移動に限れば、本数も多いですし、運行状況をネットで確認できます。1人72円(20バーツ)と料金も安いので便利な移動手段です。現在路線は5本走っています。

スマートバスの詳細についてはこちらhttps://traveloco.jp/chiangmai/guide/tp-gen-busの記事が参考になります。

チェンマイ国際空港から市内までは、スマートバスや空港タクシーを利用できます。しかし、市内に入ると流しのタクシーはほとんど走っていません。代わりに、トゥクトゥクと呼ばれる三輪タクシーや、ソンテウと呼ばれる小型トラックの荷台を改造した乗り物を利用することになります。

トゥクトゥクは2~3人が乗車することができ、ドライバーとの交渉で、約360円~720円(100~200バーツ)の料金で市内市街の各地に行くことができます。地元の人はソンテウを利用することが多いです。ソンテウの運賃は基本的に車体に書いており、約70円~110円(20~30バーツ)と利用しやすい価格になっています。

観光客向けのレンタカーやレンタバイク、レンタル自転車なども利用できます。
チェンマイは治安が良い都市ですが、ドライバーの運転マナー(と技術)があまり高いとはいえません。交通事故に巻き込まれる恐れもありますので、ある程度交通事情に慣れるまでは、自分では運転しないのが安全でしょう。

レンタカー代は車種やシーズンによりますが、約3,600円~14,000円(1,000~4,000バーツ)です。普段はスマートバスとソンテウを駆使し、週末の郊外への遠出にはレンタカーを利用するとすれば、毎月の交通費は18,000円(5,000バーツ)程度になります。

食費

食費

<Photo by Zach Inglis on Unsplash

チェンマイでは、地元の食堂に入れば、一食当たり140円~280円(40バーツ~80バーツ)程度でお腹いっぱい食べられます。小ぎれいなホテルやリゾートのレストランであれば、ランチ代は約720円~1,800円(200バーツ~500バーツ)です。最近は日本食レストランも増えており、540円(150バーツ)程度で定食が食べられます。

チェンマイには24時間営業のマクドナルドがあり、マクドナルドではハンバーガーだけでなく、地元のタイ料理のメニューもあります。マクドナルドのセット価格は約540円~720円(150~200バーツ)ですので、およそ日本と同じくらい価格です。

チェンマイはカオソーイと呼ばれる麺料理や、もち米を使った料理が有名です。チェンマイには日用品や食料品を売っているスーパーマーケットや市場(タラート)が数多くあり、生活に必要なものは簡単に購入できます。
水や食料品は日本の1/3 程度の価格で売られており、飲料水(500ml)は日本円で約30円、ミネラルウォーター(500ml)は約120円、カップラーメンは約70円程度です。
平均的な食事の費用は、一人あたり約32,400円(9,000バーツ)といったところでしょう。

まとめ

チェンマイでの1ヶ月の基本生活費は、142,700円程度で、内訳は以下のようになります。

家賃 72,000円 ニマンヘミンエリア 2LDK
医療費 10,000円(法人向け共済医療保険)
水道・光熱費 7,600円
通信費 2,700円
交通費 18,000円
食費 32,400円
合計 142,700円

もちろん、ライフスタイルによって生活費は変わってきますが、月々150,000円~180,000円程度あれば、チェンマイで快適な生活が送れます。

このように、チェンマイは物価や生活費が安くて、比較的治安も良いですがいくつかの注意事項があります。大きな注意点として、コンドミニアムを借りる際には3年などの長期契約が必要になることが多く、家賃は契約時にまとめて支払うので、100万単位のまとまったお金が必要になります。
また、コンドミニアムの中には、家賃を低く抑える代わりに諸経費を高くしていることもあるので、契約時には細かい点まで入念にチェックすることが大切です。

マンスリーマンションやサービスアパートメントであれば短期契約が可能で、コンドミニアムのようにまとまった出費は不要です。家具や設備はあらかじめ完備されており、Wi-Fiの料金や水道光熱費も家賃に含まれていることが多いので、長期契約のコンドミニアムよりも借りやすいでしょう。

チェンマイで暮らす際には、家探しの苦労や費用の負担などを軽減するためにも、マンスリーマンションやサービスアパートメントの利用をおすすめします。